院内処方と院外処方

当院は平成元年10月の開院以来、院内処方を続けています。

 

 

院内処方は患者さんにとってメリットの大きい処方です。

外にある調剤薬局まで足を運ぶ必要がないため、手間と時間が省けます。

調剤薬局の手数料分、自己負担が少なくて済みます。

診察のお支払いとお薬代のお支払いが1回の会計で済みます。

薬剤師が処方内容を担当医に直接問い合わせしたり、カルテを確認しながら、調剤を行うのでお薬の説明が的確でかつスムーズに行うことができます。

(逆に医療機関側にとっては、人件費が余分にかかることやデッドストックなどの在庫管理の手間などのデメリットがあります。

 

 

 

 

 

 

院内処方について

http://www.jkk-sotohp.or.jp/sosac/about/yakkyoku.php

同じ薬を処方してもらっても、院内処方と院外処方では下の例のように窓口負担額に大きな差があるのをご存知ですか?また、そのほかにも院外処方では様々な加算で追加料金が発生する場合もあります。

 

● 風邪で、飲み薬2剤(内服)5日分 + 解熱剤1剤(頓服)を処方した場 

   院内処方  720円

   院外処方 2,210円

 

● 高血圧で、飲み薬1剤(内服)14日分を処方した場合

   院内処方  900円

   院外処方 2,130円

 

● 高血圧と脂質異常症で飲み薬2剤(内服)14日分、腰痛で湿布薬(外用薬)を処方した場合

   院内処方  780円

   院外処方 2,860円

 

 

院外処方(病院の外にある調剤薬局で薬を受け取る場合)では・・・

処方せんが必要で、これは病院で医師に作成してもらいます。

病院で医師が、処方せんを発行するときにかかる費用が『処方せん料』です。

院外の調剤薬局では、薬代と一緒に「調剤料」「調剤基本料」「薬剤服用歴管理・指導料」などを支払います。

このように、患者は医療機関と薬局と2箇所に行かなければならないばかりか医療費の支払いも2度払いになり院内処方に比べて院外処方の方が高くなるという欠点があります。

 


医薬分業に思う

なぜ医薬分業にしないのかと問われることがある。

自分が患者として薬を受け取る立場なら、医療機関の窓口で直接薬を受け取りたいのでと、笞えている。

 

診療所などの小さな医療機関では使用する薬の種類は限られており、服用方法もさほど複雑ではない。

風邪症状で辛い時は、診察と投薬と会計を少しでも早く済ませ、家でゆっくり休みたい。同じ薬の処方が繰り返されることの多い生活習慣病は、診察後その場でいつもの薬を持ち帰るほうが簡単である。

 

診察と投薬が同じ医療機関内で行われ医療が完結すれば、医師は処方した薬を自ら説明

することで治療内容の再確認になるとともに、薬を受け取る患者の疑問や不安もその場で解消できる。

 

近年、大病院での医療は高度・複雑化し、かつ医療の各プロセスに効率化と専門性が求められ、薬剤に関しても分業化は必然である。

だが、プロセスの細分化によって医療者間のコミュニケーション不足が生じたり、医療の流れが機械的となったり、伝えるべき情報のニュアンスが変わったりする恐れもある。

 

(中略)

 

薬を受け取る患者も処方する医師も、今は医薬分業に慣れてきてそれが当たり前と感じるかも知れない。

時代には逆行するが、患者の利便性や医療の一貫性を考慮すると、医療現場の特性に応じた日本独特の薬事情があってもよいのではないかと考える。

        

引用

日医ニュース  第1339号 平成29年6月20日

 

 

<院長コメント>

「日医ニュース」という日本医師会(日医)からの会員への配布物に掲載されたエッセイの紹介です。

 

政府は医薬分業を推し進めており、すでに大方の無床診療所も院外処方となっています。

当院は開業以来30年近く院内処方を行っています。

もちろん開業当初には院外処方という概念はありませんでした。

このように開業時に院内処方で始まった経緯もありますが、手間(窓口負担増)暇(面倒臭いし時間も余分に使う)のかかる院外処方には多くのデメリットもあるのです。

 

日医でこんな記事をとりあげられたことに勇気を与えられた気がします。

そして何よりも自分と同じ考えの医師がいるということで紹介させていただきました。