5.29

<「温かい”ひと言”」> 患者さんは、長い説明よりも、内容のある温かな”ひと言”にこころを動かされる。

 

<温かいひと言①>「以前対談をした登山家の田部井淳子さんは2012年にがん性腹膜炎と診断され、最初に入院した地方の病院でいきなり余命3か月と宣告された。そんなはずはないと、かかりつけ医の紹介で某がん専門病院を受診して再度、検査を受けたところ、そこの医師の対応が実に素晴らしかった」

 

<温かいひと言②>「『昔ならともかく、今はいい薬があるから治りますよ』。この言葉を聞いたとたんに元気も食欲も出てきた田部井さんは、迷わず抗がん剤治療を始めた。その後手術を受け、術後も繰り返し抗がん剤治療を行い、今も元気に活躍されています」(帯津良一 氏)

 

<医者と患者①> 「患者さんとの関係をひと言で表すなら、戦友。共通の敵に立ち向かい、もしも相手が凶弾に倒れたら最期までそばについている、そういう間柄です」(帯津良一 氏)

 

<医者と患者②> 「特に、がんのようにからだだけでなく、こころにもいのちにも深くかかわる敵と闘う場合、医師はいかなる状況になろうとも患者さんに寄り添うべきだ。ところが現実の医療現場では、患者さんは『壊れた機械』、医師は『修理エ』であるかのような言動が実に多い」(帯津良一 氏)

 

<学ぶということ> 「学んだことのたった一つの証は変わることである」(哲学者・林竹二氏)

 

<医療現場の心がけるべきこと①> 「私は、医療にかかわる人々はホテルのフロントや空港カウンターの対応を見習うべきだと思う。彼らはいつも笑顔で感じよく接してくれますね。患者さんは病気を抱えてつらい思いをしているのだから、医療現場はなおさら親切で温かい対応であってしかるべき」

 

<医療現場の心がけるべきこと②> 「人はみな一人で生まれ一人で死んでいく孤独な存在です。いのちある者の宿命である生きるかなしみを互いにいたわり、敬う気持ちがあれば、そこには自ずとぬくもりが生じるはずだ」(帯津良一 氏)

 

<秒速10メートル!> 血管の硬さを調べる検査には、心臓の拍動の衝撃が動脈を通じて全身に伝わる速度を調べるPWV検査があります。血管が柔らかい場合、血流の衝撃を血管が吸収するため、心臓の拍動はゆっくり伝わります。その速さは秒速10mほどです。動脈硬化があるともっと早くなります。

 

<血圧ってすごい> 上の血圧が130mmHgという数字は水銀で測定した値です。水銀の比重は13.6ですから水の柱に換算すると1m82cmにもなります。