腎硬化症

腎硬化症

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腎硬化症は一般に、良性腎硬化症悪性腎硬化症に分けられます。

良性腎硬化症

高血圧は身体中の動脈硬化の原因となりますが、腎臓は身体中で最も血管の多い臓器の1つですから、動脈硬化によって血液の流れが悪くなり、徐々に腎の傷害が進行し、慢性腎不全の原因となります。

腎硬化症で慢性腎不全になった患者は、同時に腎臓以外の動脈硬化も進行しているため、生命にかかわる心筋梗塞や脳卒中などの危険が高い重篤な病状と考えられます。

 

悪性腎硬化症

比較的若年者で、最低血圧が130mmHg以上の状態が続くと、身体の中の動脈で唯一外から見える眼底網膜の細動脈の病変が進行し、うっ血乳頭(網膜の乳頭部の浮腫)が見られる緊急病態です。

効果的な降圧薬が無い時期には、ほとんどの患者さんが脳卒中や心不全で死亡したため、悪性高血圧と言う名前が付けられていますが、癌のような病気ではなく、最近では強力な降圧療法により、悪性ではなくなったと言えます。

しかし、早急に血圧を下げなければ、死を招く病気であり、死亡しなくても腎不全の原因となります。

重篤な高血圧により、頭痛、むかつき、視力低下、全身倦怠などの症状で受診される患者さんが多いようです。

このように重症の高血圧が発症する原因には腎臓が関与しています。

血圧が著明に上昇すると、腎臓はみずからの臓器を保護するために血管が収縮し、中を流れる血圧を下げようと反応します。

しかし、腎臓の血流が減少すると腎臓から、血圧を上げるホルモンであるレニンが分泌され、全身の血圧はさらに上昇し悪循環となるわけです。

強力な降圧剤の無い時代には、救命の目的で、悪循環の原因であるレニンを下げるため両方の腎臓摘出まで行われました。


 

腎硬化症

https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/nephrosclerosis/

腎硬化症はこんな病気

高血圧が原因で腎臓の血管に動脈硬化を起こし、血管の内腔が狭くなって血液量が減少することで腎臓に障害をもたらす疾患です。

腎臓は大きな血管から、糸球体(血液から尿を生成するフィルターのはたらきをする毛細血管)まで、さまざまなサイズの血管が集まっている臓器です。

長年の高血圧などにより、腎臓の細小動脈に障害が起こり、その結果、徐々に糸球体が硬化して腎機能が低下します。

病気の進行が遅い良性腎硬化症と、急速に症状が悪化する悪性腎硬化症があります。

良性腎硬化症は、本態性高血圧(加齢や遺伝的要因、生活習慣と関連した高血圧)によって、腎臓の血管に動脈硬化を引き起こし、徐々に腎機能の低下をきたしたものです。

一方、悪性腎硬化症は、本態性高血圧以外にも腎血管性高血圧(腎動脈の狭窄による高血圧)などの原因が特定される二次性高血圧の経過中に急激に悪化し、腎障害のみならず心不全や脳血管障害など全身の症状を呈する予後の悪い病気です。

腎硬化症は、日本で透析導入が必要な末期腎不全の主要原疾患として、2016年の時点では第3位で、全体の14.2%を占めています。

 

腎硬化症の診断

良性腎硬化症は多くの場合、本態性高血圧の経過中に尿検査で軽度の尿タンパクを認めますが、尿タンパクが陰性のこともあります。

血液検査で腎機能の低下(血中尿素窒素・クレアチニンの上昇)や電解質異常が出現した場合は、腎硬化症の疑いがあります。

また、進行例では超音波検査やCTなどの画像検査において、両側の腎臓の萎縮が認められます。

確定診断には腎生検(腎臓を細い針で刺して、一部組織を取ってくる検査)が必要になりますが、高齢者の場合、また既に腎臓が萎縮している場合はあまり行われません。

これまでの高血圧歴と尿検査所見が矛盾しないこと、他の疾患の可能性を否定できた場合に除外診断されることが多いのが現状です。

悪性腎硬化症は、高血圧による腎機能の急速な悪化に加え、眼底検査や心臓機能(心電図、胸部X線、心臓超音波)などで多臓器にわたる異常所見を認めます。

眼底所見では高血圧ならびに動脈硬化がある程度判定できます。

また、昇圧ホルモンの異常分泌による腎血管性高血圧や、褐色細胞腫などの二次性高血圧が原因となることもあり、鑑別のための検査も必要です。

 

腎硬化症の治療法

良性腎硬化症に対しては、高血圧の治療が中心となります。

食事療法(減塩食1日6g以下)や運動療法などによる生活習慣の改善、適切な降圧薬による治療を行います。降圧目標で推奨されている数値は130/80mmHg未満です。

悪性腎硬化症は、血圧管理とともに適切な全身管理を求められるため、一般に入院安静が必要です。

内服による降圧薬が効きにくい場合は注射薬を用いることがあります。

腎硬化症が悪化すると慢性腎不全になる恐れがあります。

さらに慢性腎不全から重い尿毒症を発症し、腎臓の機能が10%以下にまで下がってしまうと、人工透析や腎移植などの腎代替療法が必要です。

 

 

腎硬化症(ドクター用)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/5/102_1180/_pdf

病理学的には“細動脈の硬化性変化による腎障害”と定義される腎硬化症と高血圧の関係は実ははっきりしておらず、またagingとの線引き、粥状動脈硬化による虚血性腎症との鑑別など多くの問題が未解決のままである。

 

高血圧の程 度がひどく比較的短期間に腎機能が低下する病態を悪性腎硬化症と呼び、その腎臓を急速に悪 化させるほどの拡張期血圧が120~130 mmHg以上となる高血圧を悪性高血圧(加速型高血圧) と呼ぶ。

 

悪性高血圧より程度が軽く、長期間に渡り徐々に腎臓を蝕むが,少なくとも短期間では、腎不全に至ることのない程度の血圧を伴う軽度の腎機能障害を、一般に良性腎硬化症と呼んでいる。

 

良性腎硬化症の本態は、血管障害(血管の硬化性変化)であると考えられており、輸入細動 脈における硝子様物質の内皮下への沈着や、小葉間動脈における弾性板の多層化を伴った線維性の内膜肥厚と平滑筋細胞の肥大と過形成による中膜肥厚が特徴的な所見とされる。

 

 

超音波による腎動脈病変の標準的評価法

https://www.jsum.or.jp/committee/diagnostic/pdf/jin_doumyaku_hyouka_41-3.pdf

 

RIカットオフ値0.7、CKDの腎障害進行を予測

https://www.m3.com/academy/report/article/121857/

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