特発性食道破裂
https://www.tokushukai.or.jp/treatment/digestive_surgery/shokudou_haretu.php
・器質的疾患のない正常な食道に、突発的な内圧の上昇によって食道壁全層が破裂・穿孔が生じる病態。
・早期診断・早期治療が極めて重要であり、初期診断の遅延によって感染性合併症(膿胸・縦隔膿瘍)により重篤な状態に陥り予後は不良となる。
・早期の診断と積極的な手術により救命率は90%を超えるものの、認識の低さによる診断の遅れから治療まで12時間以上要した場合、致死率は50%に上る。
・誘因の約7割が飲酒後の嘔吐とされ、30~50代の男性に多い。
正常の胃・食道接合部から下部食道に圧力が加わり縦方向に破裂する。
好発部位は下部食道左壁とされており、これは下部食道壁の筋層が胃の筋層に比べて薄く、輪状筋の櫛状欠損が時にみられ、神経血管が壁外から進入するため先天的に脆弱な部分が生じているためといわれている。
また下部食道左壁のみが心臓・大動脈・椎体といった周囲の支持組織を欠くという解剖的特徴も原因と考えられる。
特発性食道破裂と食道憩室の 病態・手術適応・治療成績
https://www.jsgs.or.jp/cgi-html/edudb/pdf/20071051.pdf
(ドクター用)
院長コメント;
「胸骨(ネクタイの部分)のあたりが昨日から突然痛む」という60代後半の男性が来院。
本人は消化器系の感じがするという。
逆流性食堂炎や特発性食道破裂を最初考え、特に後者では胸部レントゲンに異常影が出るのではと思って調べたが異常ない。
念のためと思って、心筋梗塞を疑って心電図をとったら見事な下壁の急性心筋梗塞だった。救急車を要請し、専門病院に搬送。
急性下壁心筋梗塞は消化器の病気と間違えられることで有名。
なまじっかの知識が診断を遅らせてしまった。