脳卒中の分類
細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」が最も多い
脳卒中は、脳の血管の病変により、脳細胞が十分に機能を果たせなくなる病気の総称です。
大きくは、「出血性脳卒中(脳出血、くも膜下出血)」と「虚血性脳卒中(脳梗塞)」とに分けることができます。
●出血性脳卒中
・脳出血・・・脳の血管が破れて出血するタイプです。脳出血の主な原因は、「高血圧」
です。脳内の細い血管に、絶えず高い圧力がかかっていると、血管壁がだんだんもろく
なり(血管壊死)、最終的には破裂して、脳内に出血します。
・くも膜下出血・・・脳は外側から「硬膜、くも膜、軟膜」という3つの膜に覆われてい
ます。脳動脈にできたこぶ(動脈瘤)が破れると、くも膜下腔(くも膜と軟膜の問の隙
間)に出血します。動脈瘤の多くは先天的なものですが、高血圧があると、動脈瘤が大
きくなるといわれています。
●虚血性脳卒中(脳梗塞)
脳の血管が詰まり、血流が途絶えてしまうことから、その先に酸素や栄養が届かず、脳細胞が壊死に陥る病気です。
脳梗塞には、次の3つのタイプがあります。
・アテローム血栓性梗塞・・・頭蓋内の大きな動脈や、脳に血液を送る頚部の動脈に起
きた、動脈硬化(アテローム硬化)が原因となります。血管壁内に余分なコレステロー
ルなどが沈着して、血管の内腔が狭くなると、血栓(血の塊)ができます。その血栓に
よって直接血管が詰まる場合と、頚動脈などにできた血栓がはがれて脳に流れて行き、
その先の細い血管を詰まらせるケースとがあります。
また、何らかの要因で血圧が低下したときに、もともと狭くなっている血管の血涙がさ
らに悪くなって、脳細胞に障害を与えることもあります。
・ラクナ梗塞・・・脳の深部にある細い血管が、詰まるタイプで、日本人に最も多く見
られます。明確な原因は不明ですが、主に高血圧により、血管壁が傷害されて厚くな
り、血流障害が起きると考えられます。
・心原性脳塞栓症・・・心臓にできた血栓が、血流に乗って脳に流れて行き、血管を詰
まらせるタイプです。正常な心臓であれば、まず血栓はできませんが、「心房細動(心
房が不規則な拍動を繰り返す)、リウマチ性心臓病(弁膜症)、心筋梗塞」などがある
と、心臓内の血液が停滞して、血栓ができやすくなります。
禁煙・節酒、食事… 生活習慣改善で脳卒中再発防ぐ
危険な脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」(1)
https://medicalnote.jp/contents/150609-000001-UHWFBC
・一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳梗塞と同様の症状が現れるものの、24時間以内(多くは数分~数十分以内)に症状が完全に消失するもののことをいいます。
代表的な症状は、片麻痺(片側の手足が動かなくなる)と言語障害(急に言葉がしゃべれなくなる)ですが、一過性黒内障(片目が見えなくなる)や半盲(視野の半分が見えなくなる)といった目の症状が出現することもあります。
これらは、一時的に脳や網膜へ行く血液の流れが悪くなることにより起こります。
・TIAの特徴は、症状が一度消える点にあります。
TIAを発症すると、一旦は脳の血管が詰まってしまい、麻痺の症状などが出てしまいます。
しかし、詰まった血管が元通りに開通することによって突然症状が消えてしまうのです。
この場合には麻痺は残らず、いったいなんだったのだろうと思う患者さんも多いはずです。
・このTIAは脳梗塞と同じメカニズムで引き起こされており、脳梗塞の起こる前兆として、とても危険です
脳梗塞になるリスクを考えるためには、ABCD2 スコアというものがあります。
このスコア(合計0~7点)が高いほど、TIAの後、早期に脳梗塞を引き起こす可能性が高いとされています。
特に3~4点以上の方は注意が必要です。
しかし、これに当てはまらないからと言ってTIAの症状が出ても受診をしなくてよいという訳ではありません。
万が一TIAの症状が出た場合には、速やかに病院を受診すべきです。
また、このABCD2スコアも合わせ、脳梗塞のリスク評価は以下7つのように考えられています。
1 MRI検査の拡散強調画像でTIAにも関わらず、脳梗塞と同じ変化がある
2 ABCD2スコアで3~4点以上(4点以上は即入院!)
3 頭蓋内・頸部の動脈に狭窄(狭くなっている部分)がある
4 心房細動(脳梗塞の原因となる不整脈)を伴っている
5 TIAの発作を繰り返している
6 TIAの発作の持続時間が長くなっている
7 血液凝固異常を伴っている
危険な脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」(2)―急性脳血管症候群とは?
https://medicalnote.jp/contents/150609-000002-JIJSEC
・TIAになると、5年以内に30%の方が脳梗塞になるといわれています。
また、そのうち3ヶ月以内には15%の方・2週間以内には10%の方が脳梗塞を起こします。
そして2週間以内に脳梗塞を起こした10%の方のうち、3割の方は24時間以内に発症しています。
・つまりTIAは発作を起こした直後ほど危険な状態であす。
特にTIAを起こして24~48時間以内は非常に危険だと言われており、早急に脳卒中専門医を受診する必要があります。
・一度脳梗塞になってしまったら障害が残ることが多く、元の身体に戻ることは非常に厳しくなりますが、TIAの段階であればまだ麻痺は残らないため、障害を背負うことはありません。
なによりも、この段階できちんと治療をすることが大切です。
・脳梗塞になるリスクを考えるために有名な、ABCD2 スコアというものがあります。
一過性脳虚血発作の3つの原因、その症状とは?
https://medicalnote.jp/contents/150609-000003-GCECGZ
一過性脳虚血発作(TIA)の検査―原因を明らかにするために
https://medicalnote.jp/contents/150609-000004-OBOMBR
一過性脳虚血発作(TIA)の治療―脳梗塞を予防するためには
https://medicalnote.jp/contents/150609-000005-QGQIES
脳梗塞の警告発作、一過性虚血発作(TIA)とは
https://medicalnote.jp/contents/160120-037-MA
脳梗塞を疑うしびれには注意が必要-注意すべきしびれとは
ACジャパンの広告より