熱中症の原因
熱中症が起きる原因は
○気温と湿度が高いという外的要因
○高齢者や赤ちゃん、持病を持っているなどの身体的要因
○屋外での長時間作業や慣れない運動をするなどの行動要因
の三つに大別されます。
ヒトは、体の中が熱くなりすぎないよう、常に体の表面から熱を放出し、熟くなると汗をかいて気化熱で体を冷やしています。
しかし、外気温が体温以上になったり、湿度が高すぎたりすると、放熱や汗をかくことが
うまくいかず、体に熱がこもって熟中症になってしまうのです。
熱中症は、子どもと高齢者がなりやすいと言われています。
子どもは体そのものが小さい上に、地面からの輻射熱を受けやすく、体が熱くなりやすいのです。
一方、高齢者は外気温の変化を感じにくく、暑くてもエアコンなどを使わない傾向があるため、気づかぬうちに熱中症になってしまいます。
いずれにしても夏は熱中症に対して、本人はもちろんのこと家族や周囲の人の注意や監視がかかせません。
熱中症予防のために
「熱中症]は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分バランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、救急搬送されたり、場合によっては死亡することもあります。
熱中症について正しい知識を身につけ、体調の変化に気をつけるとともに、周囲にも気を配り、熱中症による健康被害を防ぎましょう。
暑さを避ける
室内では・・・
・扇風機やエアコンで温度を調整
・遮光カーテン、すたれ、打ち水を利用
・室温をごまめに確認
・WBGT値※も参考に
※WBGT値;気温、湿度、帽射(放射)熱から算出される暑さの指数
通勤や作業の度合いに応じた基準値が定められています。
環境省のホームページ(熱中症予防情報サイト)に、
観測値と予想値が掲載されています。
外出時には・・・
日傘や帽子の着用
日陰の利用、こまめな休憩
天気のよい日は、日中の外出をできるだけ控える
からだの蓄熟を避けるために
通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する
保冷剤、水、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
こまめに水分を補給する
室内でも、外出時でも、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分・塩分・経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などを補給する。
熱中症の症状
○めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、筋肉のこむら返り、気分が悪い
○頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、いつもと様子が違う
重症になると、
○返事がおかしい、意識消失、けいれん、からだが熱い
詳しくは、厚生労働省ホームページ「熱中症関連情報」をご覧ください。
■熱中症、倒れる前に受診を
熱中症は、高温の環境下で体の電解質バランスや調整機能が崩れて起こる障害の総称。
症状の多くは、頭痛や嘔吐などだ。
2014年は28万人が熱中症で医療機関を受診し、死亡の約8割を70歳以上が占めるとされる。
通常、熱中症の最初のピークは、梅雨が明けて一気に気温が上がる7月下旬。
体が暑さに慣れていないため重症化しやすく、救急搬送例も多くなる。
最も警戒すべきこの時期をうまく乗り切る対策としては、
①市販の経口補水液やスポーツドリンクで水分補給に努める
②就寝時を含め、気温が高い時はエアコンの力を借りて温度調整を図る
の2点が基本。
なお、水だけを大量に飲むと体内の塩分濃度が下がり、低ナトリウム血症に陥る恐れがある。
塩あめなども携帯するとよい。
熱中症が疑われる場合、受診の第一の目安は「意識の有無」。
意識が無ければ救急車を。
意識はあるが自力で水を飲めない、水分補給後も体調が回復しない場合も、医療機関を受診した方がよい。
出典
日経新聞・夕刊 2015.7.23
熱中症環境保健マニュアル
http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php
PDF]熱中症環境保健マニュアル - 環境省熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/full.pdf
普及啓発資料のダウンロード
http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_pr.php
環境省熱中症予防情報サイト
怖い水中毒 熱中症には警戒が必要、でも水の飲み過ぎにも注意を
https://www.asahi.com/articles/ASQ6D1S9PQ6DTIPE001.html
・真夏だけではなく、体がまだ暑さになれていない梅雨から初夏にかけても熱中症に警戒が必要だ。
・予防には水分補給が欠かせないが、同時に塩分も摂取する必要がある。
・大量の汗をかいたのに、塩分を補給せず、水分だけを補給するのは危険だ。
汗にはナトリウムなどの塩分が含まれている。
発汗でナトリウムが体から失われたのに補給しないままだと、体内のナトリウムが不足する。
そこに大量の水分を摂取すると血液が希釈され、低ナトリウム血症に陥る。
・体内に余分な水があると腎臓は尿として水分を排泄する。
・低ナトリウム血症のときはできるだけ尿を薄めてナトリウムの喪失を減らそうとするが、その能力には限界があり、どうしても尿中にナトリウムが失われる。
つまり、水の飲み過ぎは、単に血液を希釈するだけではなく、尿への喪失によってナトリウム不足を悪化させる。
・過剰な水分摂取にともなって体内の塩分のバランスが著しく崩れた状態が「水中毒」。
・水中毒の症状は吐き気・頭痛・倦怠感、重症では意識障害・けいれんなどで、死亡することもある。
・典型的にはマラソンなどの長時間のスポーツにおいて水分を大量に摂取したときや、心因性多飲症という精神的な問題で水分を飲んでしまう病気で起きる。
なお、一般的なスポーツドリンクは飲みやすくするために塩分濃度が薄いので、マラソンやトライアスロンといった長時間の激しい運動時にはスポーツドリンクを摂取していても水中毒が起きることがある。
(出典 朝日新聞デジタル 2022.6.13)
*この記事のポイント
脱水対策に水分を摂る際には、同時に塩分の摂取を心がけよう。
*追加
夏になると「脱水対策に1日に2~3Lの水分を摂りましょう」とか「口が渇く前に一定間隔で水分摂取に心がけましょう」という記事を見かけます。
しかし、体重や本人の環境によって水分摂取量は変わってきます。
したがって、塩分摂取に触れずに水分摂取量だけを取り上げて話をされると、程水中毒に陥る危険性があります。
私は患者さんに対しては「夏場は特に、トイレでの排尿の際に尿の色に注意してください」と話します。
尿の色が濃いと、その時点で脱水の危険信号なのです。