赤ちゃんはハイハイを始める頃からいろいろな物に興味がわき、何でも口に入れたがります。

時に異物を誤飲することがあり、それが気管や気管支など空気の通り道に入る「誤嚥」になることがあります。

(誤飲と誤嚥は異なります。コイン、電池など本来飲み込まない物を飲んでしまうことを“誤飲”、また、食べ物が気道に入ってしまうことを“誤嚥”といいます

 

誤飲事故の上位である薬やたばこに比べて食品は油断しがちですが、2歳未満(乳幼児)の誤嘆の多くは、ピーナッツや枝豆のような小さくて硬く、表面が滑らかな食品です。

乳幼児は気管が狭く、食べ物を噛み砕くのも得意ではありません。

多少大きな食べ物でもあまり噛まずに飲み込んでしまうため、誤嚥による事故が起こりやすいのです。

お父さんがおつまみの豆類を食べさせて誤嚥につながるケースもあります。

節分の豆も注意が必要です。

また、3歳を過ぎるとおもちゃを飲み込む事故も増えてきます。

 

火消しのために水を空き缶に入れてたばこの吸い殻を貯めている場合は特に危険です。

それをジュースと勘違いして飲んでしまいます。

水にはたばこの成分が濃縮されて溶け出しているために容易に中毒症状を来たします。

救急を受診してもらい、口や鼻から胃に達するチューブをいれて、胃の中を洗浄する必要があります。

ボタン電池の誤飲も危険です。

食道に引っかかっている場合、食道の壁は薄く容易に穿孔すると言われているため、全身麻酔で胃カメラなどで取り出します。

胃まで流れている場合は、右向きで横になってもらい、胃から十二指腸へ流れるように促します。

十二指腸へ流れてしまえば数日で便として排出されます。

胃から流れない場合はやはり胃カメラなどで取り出す必要があります。

こうした乳幼児の誤飲や窒息を予防するために、ピーナッツなどの豆類は3歳くらいまでは食べさせないようにしましょう。

 

ピーナッツの誤嚥;

硬くてツルっとしているため気道に入りやすい食べ物です。

ピーナッツから出てくる油で肺炎を来たし、ピーナッツは徐々に膨らんで気管の内腔を詰めてしまい、場合によっては窒息することもあります。

またレントゲンには写らないので診断が難しいです。

診断がついたら全身麻酔で気管支鏡というのを使って取ります。子

供用の気管支鏡は非常に細く操作性が悪いため、苦労をすることがあります。

ピーナッツの欠片が肺の奥に入ってしまった場合、取り除くことができずに肺の部分切除が必要になる場合さえあります。

 

また、直径391mm奥行き51mmの円筒の「誤飲チェッカー」があります。

これに入る大きさのものは乳幼児の手の届かないところに管理しましょう。

 

(「誤飲チェッカー」はトイレットペーパーの芯で代用できます)

 

誤嚥した場合、喉に詰まって呼吸が止まったりすることがあります。

意識があるときは背中をたたいたりして異物を吐き出せればいいのですが、出ない場合でもむせて咳込んだりする症状が30分くらいで治まることもあります。

そのままにしておくと、異物が気管から肺に入り肺炎を起こすことがあります。

 

咳込みが治まってもできるだけ速やかに医療機関を受診し、必ず異物を飲み込んだこと、飲み込んだ時の様子を具体的に医師に伝えてください。